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「偶然だよ。キミ達は、偶然あのコンビニで潜入捜査してた私にドロボウしてきたんだ」
「――そんな、そんなことって」
「最初の夜、ノーパソも大事に抱えて眠っただろ? あれには捜査資料や暗号文もたくさん入っててね」
「でも、コンビニに潜入捜査なんて」
「本当にやばい奴らは誰でも簡単に雇ってくれるバイトに潜伏してる者が多い。ろくに過去を詮索しないし、奴らも活動資金が欲しい。中には同僚を詐欺か何かで金をむしり取ったり、工作員に仕立てたりってケースもある。初めは、キミはそっちかと思ったんだが」
「……あはははははっ、こんなことってあるんだね。そうか、初めから、嘘だったんだ」
「今思うと、キミ達は正直に言ってたんだな。私達はドロボウですって。それに比べて被害者である私がキミ達を騙すことになるとは」私は言う。「あの子、アカリがキミの母親なんだろ。驚いたよ」
「ママの悪口を言うな」
「そんなつもりはない。だが、娘のキミをドロボウにさせるのは外道だ。キミは怒っていいんだぞ。ドロボウの前にキミが彼女に何をさせられていたかも――いや、すまない」
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