家族にドロボウされた

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「ドロボウです」と大人の女性は言った。悪びれることなく平然と。「私達、ドロボウなんです。ふふっ、初めましてですね」 「ふふっ、パパも困惑してる」 「……意味が分からない」と言いながらも、私は鯖の味噌煮に箸をつけている。いや、何をしてんだ私は。こいつら、ドロボウだぞ。自分から言いやがったが。年若い女性達に見えるけど犯罪者なんだ。……いや、どうして彼女らがご飯を作って待っていたかは分からないが。 「ほら、ドロボウするとみなさん通報するじゃないですか?」 「当たり前だろ」  何でみなさん、ゴミをちゃんと分別してくれないのかしら。と管理人が言うような口調で言った大人の女性。 「だから考えたんです。じゃあ、ドロボウしても通報されない方法はないかしらって」 「あるはずないだろ。何を考えてんだアンタら」 「家族になりませんか?」 「はぁ?」  家族。 「私達、家族になればいいと思うんです。そうすれば、あなたも私達を通報するわけにはいかなくなる。だって家族ですもの」 「ば、ばかなことを言うな! 誰が家族だ。キミ達なんて」
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