1人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「ドロボウです」と大人の女性は言った。悪びれることなく平然と。「私達、ドロボウなんです。ふふっ、初めましてですね」
「ふふっ、パパも困惑してる」
「……意味が分からない」と言いながらも、私は鯖の味噌煮に箸をつけている。いや、何をしてんだ私は。こいつら、ドロボウだぞ。自分から言いやがったが。年若い女性達に見えるけど犯罪者なんだ。……いや、どうして彼女らがご飯を作って待っていたかは分からないが。
「ほら、ドロボウするとみなさん通報するじゃないですか?」
「当たり前だろ」
何でみなさん、ゴミをちゃんと分別してくれないのかしら。と管理人が言うような口調で言った大人の女性。
「だから考えたんです。じゃあ、ドロボウしても通報されない方法はないかしらって」
「あるはずないだろ。何を考えてんだアンタら」
「家族になりませんか?」
「はぁ?」
家族。
「私達、家族になればいいと思うんです。そうすれば、あなたも私達を通報するわけにはいかなくなる。だって家族ですもの」
「ば、ばかなことを言うな! 誰が家族だ。キミ達なんて」
最初のコメントを投稿しよう!