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「それじゃ、片付ける?」女の子は言う。「あたし達は家族じゃないんでしょ。じゃあ、この食卓もいらないね。あたし達も帰るよ。ね。それならいいよね。あ、ドロボウはまだしてないよ。大丈夫。これは初期投資であたし達のお金で買ったから」
いや、不法侵入も十分犯罪なのだが。
「………」
何故だろう。私は、少し戸惑ってしまった。それは、これで騒ぎになるとまずいという思考だけじゃない。別の考えも脳裏に浮かんでしまっていたのだ。
寂しい。
「どうしますか? あなたが選んでくれてかまいません。私達は他にいくらでもターゲットはいますし。でも、あなたが住まわせてくれたら、毎食ご飯を用意します。部屋の清掃やお風呂の用意、洋服の洗濯だってしますよ」
「ふざけるな。家事をしたからって何だ。私から金を盗む気だろ」
「はい、そうです。私達はあなたからお金を盗む気です」
素直すぎる告白だった。警察官の方がまだ嘘つきと感じる程に。
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