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何なんだこいつら、こんなのがほんとに成立すると思ってるのか。そもそも、家族なのに盗むだなんて。そんなの家族と呼べるはずが……いや、違うか。あくまで、こいつらは通報されない手段として家族になろうと言っているのだ。そう、あなたからお金を盗むけど通報しないでね。と、そのために家族になろうと交渉してきてるのだ。
私のためなんて一ミリも存在しない。あくまで、自分達の勝手な都合のためだ。
ふざけるな。そんなのに、誰が引っかかると言うのだ。
「………」
滑稽だ。私は彼女達の申し出を断れずにいた。それどころか。
「いつまで、いるつもりだ」
話を聞こうとしていた。
「あなたのお金を盗んだらすぐにいなくなりますけど」
「あ、長居してほしいなら盗ませないようにすればいいよ。もちろん、生活費はもらうけどね。でも、長く居た方がパパのためにもなるでしょ? だって、ねぇ。寂しくない?」
寂しい。
「アパートの管理人さんにはあたし達から言っておくよ。大丈夫、交渉は得意だから任せてよ」
「そ、そういうことじゃなくて」
「あなたは」大人の女性はしおらしく目を潤ませて言う。「私達のことが、嫌ですか?」
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