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「ふふっ、いずれ呼びたくなりますよ」
ミサキとアカリ……岬と灯り、か。何て皮肉な名前だろうな。いつか、こいつらは出て行くというのに。ドロボウだと、自分から語っていたというのに。おそらく、本名じゃなくて、コードネームみたいなものだろうが。あまりにも残酷すぎる。
「キミ達は何なんだよ。そもそも、こんな子供まで巻き込んで」
「あ、ぶっちゃけるとね。あたし成人しててね」
目を見開く。貪るように温かいご飯を食べていた私の箸が止まる。
「あー! そんな驚くことないでしょ。見た目、すごく若く見えるからかなー」
「でも、実を言うと私より年う」
「ママ! 余計なこと言わない!」
ほんとに余計すぎる情報で困る。こいつら、こんなことも平然と答えるのか。
家族になれば通報しないでしょと言うこのドロボウ達。最初は頭おかしいんじゃと思ったが――冷静になると、上手いこと考えたと思う。事実、私は彼女達を離せなかった。それほど、一人の夜、孤独、は歳に響くのだ。
だが、こいつらはリアルな情報も語る。遊園地の着ぐるみが子供達の前で脱ぎ始めるようなものだ。
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