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「そんなに海行きたかったのか? 俺と一緒じゃなくても!?」
『ホントにわかんないの? あたしは海なんか別にどうだっていいのよ!』
怒りよりも困惑で、つい責めるような言い方になってしまう。けれど彼女の返答はさらに俺を動揺させたんだ。
「じゃあどうして……」
『これ以上話しても無意味だから。どうせ一彦には通じないよ。今だって大したことだと思ってないでしょ?』
「いや、なんでそんな決めつけ──」
焦った俺の言葉は途中で遮られる。
『だってこれが帰省してから初めての連絡だよね。電話もできなかった? あたしから送らなかったらメールの一つさえ打とうとも思わないんだ。さぞ忙しかったんでしょうね!』
荒々しく言い放ち、彼女は俺の返事を確かめることもなく通話を切った。
たった二週間かそこら、いちいち連絡取らなくたって俺たちなら平気だろ。心のどこかでそう考えていた。
俺は美知に甘えてたのかもしれない。すぐに向こうへ引き返した方が良さそうだ、とようやく危機感が芽生えた。
──なるべく早く、ちゃんと顔見て話さないと。
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