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その二日後に大学の寮に戻った俺は、美知を捕まえて話し合おうとした。
彼女と澤木が何をしたのか、しなかったのか。そんなことはもう本題じゃない。まったく気にならないと言えば嘘になるけどな。
「美知、海行きたかったんじゃないのか? それがどうでもいいって、……だったらいったい何なんだ?」
一人暮らしの部屋へ行くことを拒まれ、大学のカフェテリアで隣り合って座る。話の途中での俺の質問に彼女は答えなかった。
「ねえ、一彦。あのときのあなた、あたしの希望聞く気なんて最初からなかったよね。口では『悪い』なんて言ってても、自分の決めたこと変えるつもりなんか全然ない。違った?」
投げやりな口調で問い返される。
「そ、……」
その通り、だ。
俺は彼女に一方的に予定を通告しただけだった。
自分の計画を滞りなく遂行する。それ以外の選択肢なんかなかった。
「海に行けないのが我慢できなかったんじゃない。一彦のそういうところが、あたしはもう無理だと思ったのよ」
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