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「明日の放課後!?  いや、ダメだろそんなの!」 目を丸くして机から立ち上がったのはアミのひとつ上の兄ヒトシだ。 「明日が最終日なんだから。 予定は変えらんないよ。  だいたい予告状出しといて、都合が悪くなったから別の日に変えます、  なんて聞いたことがない」 まくし立てるヒトシをなだめるように、落ち着いた口調で状況を整理するのは三人姉弟の長女ルミだ。 「予告状は絶対じゃないわ。  危険を感じたら見送る必要もあるの。  でもね、明日はめったに訪れないチャンス。それを見送るのは・・・」 杉浦ルミ、ヒトシ、アミ。 怪盗マウスボーイの「中の人たち」である。 彼女らが狙うお宝 《豊穣の九月》は 今は亡き資産家 兼持杉男(かねもちすぎお)が生前収集した美術品の中のひとつだ。 普段は彼が住んでいた広大な邸宅の中にある保管庫に厳重にしまわれている。 そんな彼の貴重なコレクションを一般公開する展示会が今まさに開かれているのだ。 そして、最終日となる明日、展示品を元の保管庫へ戻す撤収作業が行われる。 怪盗マウスボーイにとってお宝を手に入れる千載一遇のチャンスなのである。 「だよね。ずっと計画を練ってきたんだし・・・」 明日のチャンスを見逃すことがどういうことか、アミも怪盗マウスボーイの一員として十分理解している。 あの手紙は燃やさなければならない。それで自分の想いもいっしょに灰になってしまえばどんなに楽だろうか。
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