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「10月31日に  《豊穣の九月》をお迎えにあがります            怪盗マウスボーイ」 九月の誕生石サファイアを中心に豪華な装飾が施されたブローチ。 《豊穣の九月》と名付けられたこの特別な宝飾品はとある資産家のコレクションとして保管庫の奥に眠っている。 これをお迎えにあがる、つまり盗みに行くという犯行予告のメッセージカードがある日資産家の元に届けられたのだ。 怪盗マウスボーイの予告状はこれが初めてではなかった。 過去に二度予告が行われ、いずれも怪盗は目的を果たしている。 《繁栄の七月》 《萌芽の三月》 誕生石があしらわれたこれらの宝飾品は《プリンセスの一年》と呼ばれ、全部で 12点のアクセサリーが全身をきらびやかに飾り付けるものであった。 「ふざけやがって・・・」 苦々しい顔で腕組みをしているのは警視庁怪盗マウスボーイ対策本部の木屋戸二郎(きやとじろう)警部だ。 視線の先のホワイトボードの真ん中には今回の予告状のコピー。そのまわりは過去の事件の捜査資料で埋め尽くされていた。 「仏の顔も三度までだ!」 「えっ? それだと次の犯行もOKみたいになっちゃいますけど? 」 「はぁ!?   いつ誰があのクソ野郎を許したってんだ!?」 木屋戸の部下である加藤淳也(かとうじゅんや)は木屋戸に怒鳴られるのが日課となっている。高学歴が災いしていつも一言多いのだ。 「予告状とかなめたマネをしやがって。次で引導を渡してやる。  三度めの正直だ!」
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