二つの繋がり

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二つの繋がり

正太郎に連れて行かれた所は、あの祠がある場所だった。 ここに来るまでの間に正太郎は、あの日山で何があったのかを詳しく話してくれた。 「大分明るくなりましたね」 叶人は間引きされ、光の入った竹林の方を見て言った。 「竹は強いから大変だったけ」 正太郎は大袈裟に両手を広げ言うと 「ここから先にある物が、もう一つの驚く物け」 祠の奥を指差し言う。 「先にある物・・確かこの先には沢山のお地蔵様があるだけじゃ・・それにさっきの話だとお地蔵様は山と一緒に崩れたはずじゃ?」 「そう。それは間違いない。ま、行って見てみれば分かるけ」 祠と竹を結んでいたしめ縄がなくなり通りやすくなった横をすり抜け、木漏れ日がさす竹林の中を歩いていく。 鬱蒼と密集していた竹林も人の手が入ると、CMにでも出てきそうな程の素晴らしい竹林へと生まれ変われるらしい。 不安と好奇心を胸に竹林を抜けた先で叶人と優奈が見たものは、前に見た時と同じ無数のお地蔵様が立つ光景だった。 「あ、あの・・正太郎さん?」 「うん。言いたい事は分かるけ。俺も驚いたけ。ひとりでに動き出し山を登って山と共に崩れ落ちたはずの地蔵達が、すっかり元の場所に戻ってるんだからね」 「どうしてこんな事が・・」 叶人も優奈も信じられないとばかりに驚いた。 普通に考えれば、命を持たない石像が動くはずがない。正太郎は、地蔵が山を飛び跳ねるようにして登ったと言ったが、ずっとここにあったかのように佇むお地蔵様を見ると、その話が本当なのかと疑ってしまう。 「俺が言った事嘘だと思ってるけ?」 二人の気持ちを見透かしたように正太郎は言った。 「あ・・いえ」 「嘘だと言う奴もいるけ。地蔵が動くもんかってね。でも、あの時村の連中はみんなドンドンという地響きとその後に崩れた双子山を見てるけ」 物理的証拠があると言うわけか。 「あのぅこのお地蔵様達がここに戻ってきてるのを、正太郎さんはいつ気がついたんですか?」 「先月け。あの二人の月命日には必ず双子山に登りに花を置いてくるけ。その時に気がついたけ。それまで地蔵達はいなかったけ。最初見た時は心臓が飛び出すかと思うほどに驚いたけ」 正太郎は目を剥いた。 「と言う事は、このお地蔵様達がもう一つの驚く事ですか?」 叶人はお地蔵様達から目を離さずに聞いた。 「いや、違うけ。ソレはこっち」 そう言うと正太郎は双子山の方に向かって歩き出した。
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