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いい加減に
部屋着に着替えた彼女がソファに座る。
「ほら。熱いぞ。」
「ありがと。隼人のミルクティー好き。」
「それは、どーも。」
俺は、瑞希の横には座らず、ソファの肘掛けに腰を下ろしていた。
「…なにも聞かないの?」
俺は、コーヒーを飲み干すと言った。
「どうせ、また、愛しの彼氏様に振られたんだろ?」
「うん…私の何がいけないのかなぁ…」
「知らね。」
「冷たいなぁ、もう!」
「そう?彼氏でもないのに、迎えに来てくれるんだから、感謝しろよ。」
「えー」
「さ、俺、帰るわ」
「なんでよ!話きいてくれる、っつったじゃん!」
「ん~。お前、前にも同じようなことあったよな?これ、何回目よ?」
俺は玄関で靴紐を直しだした。
「え?」
「もう、俺、同じこと何度も嫌だよ。」
「ケチッ」
ポカッ
おさるのぬいぐるみが飛んできて、俺に当たった。
ムカッ
せがまれて、何千円もかけてUFOキャッチャーで、俺がとって、プレゼントしたぬいぐるみ。
「あのなぁ!俺だって…」
「なによ?」
「…クソッ」
ダンッ
おもわず、玄関の壁を叩いてしまった。
一瞬、瑞希が、ビクついたのが感じとれた。
「…俺だって、もう限界なんだよ。いい加減気づけよ、もう5年だぞ…」
俺は、そう言い残して、振り向かずに部屋を出た。
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