不毛

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不毛

授業がおわって、次の講義室へ移動もせず、男友達とだらだらと話していた。 俺たちより、後ろに座っていた瑞希が近づいて来る足音がした。 「隼人…」 瑞希のことは聞こえないふりをして、俺は、男友達に声をかけた。 「なぁ、次、どこだっけ?行こうぜ」 「おお!」 みんなが立ち上がって、ぞろぞろと動き出した。 「隼人!」 さっきより大きめの声で、呼ばれた。 それでも、無視して行こうとすると、榊に止められた。 「おい、隼人。瑞希ちゃん、よんでるよ」 そう言われては、振り向かないわけにいかない。 「俺、先行って、席とっとくから」 榊は出ていった。 「なに?」 俺は、瑞希と目を合わさないできいた。 「あ、えっと。あ、昨日はありがとう。」 「うん。」 「それでね、隼人の最後の言葉が、気になって。」 「…いーよ。そんなの気にしなくて。」 「そんなわけ、いかないよ。」 「いーから!キツい言い方して、悪かったよ。じゃーな。」 スカートを両手で握りしめてる瑞希を残して、俺は教室をでた。 あー クソッ 素直になれよ、俺っ!! 次の教室に入ると、榊がニヤニヤして待っていた。 「瑞希ちゃんと、なにか、あっただろ?」 「はぁ。別に、また、アイツ振られて。呼び出されて迎えに行っただけだよ。」 「不毛だな…」 「うるせー」 「高校んときからだろ?いつまでやってんだよ。お前もそろそろ腹決めろよ。」 「けど…」 「告白して振られたら、友達でもいられなくなったら嫌だー、ってか。アホか、お前。自分の気持ち伝えもせず、他の男のもんになるほうが、許せなくない?」 「….」
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