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「なぁ、それって夜宮先輩の方から断る事って出来ねぇの?」
「あいにく今回のお見合い相手は私の家よりも名の知れた華道の家の方でな、一言二言では簡単に追い返す事が出来ないのじゃ。それでどうしたら良いか悩んでいた時に腹巻から声をかけられてな、恥ずかしい話し、私には友が居ない。相談出来る相手もおらず困っていた時にちょうど話しかけて来たのが服巻じゃったから今回の見合いの話しで悩んでいると言う話しを聞いてもらったんじゃ。そしたら自分に任せろと言ってくれて…」
「応援部の僕達の所にいらっしゃったと言う事ですね」
「そうじゃ。この部がお助け部で無い事は分かっている。無理を承知で頼みたい。私はまだ結婚したくないのじゃ。もう少しこの広い世界をこの目でたくさん見ておきたい…だからこの通りじゃ。褒美は出す。私を助けてくれ」
「あっ、夜宮さん顔上げて?頭なんて下げなくて良いわよ。貴方の気持ちちゃんと分かった。娘だから女だからってまだ若いうちに他所の家に嫁ぎたくないわよね、凄く分かる。私もよくあるし、そのたび怒鳴って追い返してはパパ達に怒られたりしてるもの」
「追い返してんのかよ!」
「さすが希空さん…」
とんでもないお嬢様なんだにゃ。…しかし、こうやって黙って聞いてると人間も大変なんだにゃって思えてくるにゃ…。
夜宮達の方から視線を逸らして真面目な顔でウイィ〜ンと電動ドライバーでドアのネジ締めをしている服巻の方をちらりと見ると「分かりました!」と希優の声が聞こえたからびっくりしたにゃ。
「夜宮さんの悩み事、僕達LOVE応援部が何とかいたしましょう!」
「誠か!?」
「はい!お任せ下さい!」
「しゃあねぇな。いっちょ何とかやってみっか!」
「私達に任せて!」
気合い入れてるとこ申し訳ないが何だか嫌な予感しかしないのは僕だけかにゃ?
にゃあにゃあと大丈夫か?と声をかけても猫語なんて人間に分かるわけもなく僕だけが不安な気持ちを抱えたままこうして翌日を迎えてしまうのであった…。
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