2話・痩せたい片想いにゃ

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「く〜っ、いつ見ても綺麗だぜ姫パイセン!」 「あぁ全くだ。いつ見てもお美しいぜ…」 群がる男子生徒共とおんなじようにフェンス越しに水泳部を眺めていた僕の隣に双眼鏡を使って女子水泳部を覗いている変態馬鹿2人。優人と服巻の事にゃ。こいつら馬鹿真面目な顔でそんなの目に当てていったい何やってるにゃ?つうかいつから居たにゃ?つうか何で居るにゃ?ついて来たのか?ついて来たんだな?絶対そうにゃ。 「服巻パイセン夜宮パイセン好きなんだろ?他の女に鼻伸ばしてて良いのかよ?」 「馬鹿野郎。夜宮さんは夜宮さん、海宝(かいほう)さんは海宝さんだから良いんだよ」 全く説明になってないにゃ。 「はぁ?意味分かんねぇ…」 「だぁから夜宮さんはガチの本命。でも海宝さんは目の保養、息抜きでエロ本見てるのと一緒なんだよ」 最低だにゃ。 「あぁ!?海宝パイセンをエロ本扱いすんな!せめてそこはもっとマイルドに蜂蜜舐めてる気分になるだけって言えよ!」 お前のその例えもどうかしてるにゃ。つうかお前もクソだにゃ。海宝に土下座しろにゃ。蜂蜜は二度と口にするにゃ。…つうかあの人“海宝”って言うのにゃ?海宝城なんて日本にあったかにゃ?聞いた事にゃいんだけど? 「3年1組 海宝歌恋(かいほうかれん)パイセン。あまりの神々しい美しさからRich!花畑学園入学当初から毎年ミスコン3位で終わる希空パイセンを抜いて6年連続1位をキープ。おまけに水泳部部長で泳ぎ方が本物の魚のように見えるほど綺麗だと言う事から他校からも人魚姫(マーメイドプリンセス)と呼ばれている まさにガチの お姫!」 最後赤ちゃんの”おしめ”みたいに言わなきゃ完璧な説明で終わってたにゃ。だが長々とありがとにゃ優人、良く分かったにゃ。だからあの人間皆から姫って呼ばれてるにゃね。……そう言えば少し前に希空が『私の方が美人だし!なんであの人がまた1位なのよ!?クラウンは私のよ!』って THE悪役(ヴィラン)みたいな事を言ってた事があったけど、海宝の事を言ってたのか。やっと繋がったにゃ。 「海宝先輩お疲れ様です!やっぱり先輩の泳ぎっていつも綺麗で憧れちゃいますよ!」 「うふふ。そんな事ないわ…でも、ありがとう。貴方の泳ぎ方も素敵だったわ。入部した時よりもだいぶ滑らかになってたし、フォームも安定してきてるからこの調子ならもう少しタイムを縮められると思うわよ?頑張って」 「は、はいっ!ありがとうございます!私頑張ります!」 「でも怪我はしちゃ駄目よ?」 「はい!」 ふむ。…使える者は皆容赦無く使うキツい性格の希空と正反対で温厚で優しい。希空(あいつ)が学園のミスコンでどうやっても1位になれない理由が何となく分かった気がするにゃ…。
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