2話・痩せたい片想いにゃ

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「あっ、私ばっかり話しに夢中になっちゃっててごめんね!先におやつあげるね!さっき購買で買って来たの、はい、シーチキン」 嘘だろ…。 コトンと目の前に置かれたシーチキンマグロ油漬けと書かれた人間用の食い物を見て空いた口が塞がらなくなった。 いや、確かに今まで学園長からお魚のソーセージだの希空から金の缶の鯖なんて貰って食べさせてもらって喜んでいたけど、ただ説明が面倒で端折ってただけで全部“猫用”のちゃんとしたキャットフードだったにゃ。 それなのに渡辺(こいつ)ここでガチの人間用出して来やがったにゃ! 「あっ、そのままじゃ嫌だよね。ネギ入れて食べると美味しいのよ?カットネギも買って来たからシーチキンに混ぜてあげるね」 やめろ。アリルプロピルジスルフィドによって赤血球破壊されて血尿になるにゃ。 「チョコもあるのよ、アルファベットチョコ!猫だからC、A、Tのやつあげる!」 やめろ。テオブロミンによって中区神経刺激されて命に関わる腹部異常とか起こっちゃうでしょうが!だにゃ。 「あっ、シーチキンに生卵も入れてあげるわね。ネギ、卵、シーチキンの組み合わせって最強よね!私ご飯にかけて食べるの大好き!」 こいつ()を殺しに来てるにゃ。 だいたい生卵なんて食べたらサルモネラ菌に大腸菌中毒起こす可能性があるし、渡辺(お前)知ってるか?良い事教えてやるにゃ。()がそれにかかったら人間に感染にするんだからにゃ?最初の犠牲者はお前にゃ。そして様々な菌に汚染された僕は過度の腹痛や下痢を引き起こした上に吐き気眩暈動悸全身痙攣でどうにかなってしまい自制が効かなくなり苦しみながら死ぬまで学校を徘徊し学校生徒達共に教師陣、用務員の叔父さんまで道連れにして病気にさせたとして“地上最強危険生物”としてご神木に貼り付けにされ「清めたまえ〜!」と太い釘を腹の真上に打たれ一時時の人として悪い意味で全世界のメディアに公表される事になるにゃ。 にゃがしかし、僕は毅然としたプライドのある野良猫にゃ。読書だってすれば毎朝学園長室に侵入して学園長(あいつ)が留守の間に新聞を読んではニュースだってチェックしてるにゃ。渡辺よ、僕がアホな猫じゃなくて良かったって感謝するにゃ!お前は今日救われるのにゃ! 「にゃん!」 僕は目の前にずらりと並べられた危険物を前足でバシーンッと思いきり遠くに投げ飛ばしてやった。「あっ、ちょっと〜!!」と渡辺は怒っていたけれど、土埃がついたんだ、さすがにもう食べさせようとなんてして来ないにゃ。安心安心。
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