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「おや?渡辺さん何か落ちてますよ?」
「あっ、それ!」
例の紙切れならぬラブレターを見つけて拾った季優を見上げて慌てて立ち上がった渡辺が「駄目!」と叫んだが その時にはもう季優は宛名をしっかり確認してしまっていたところだった。
「あ、申し訳ありません…」
「み、見た?」
「えぇ、しっかりと。……菊池先輩って?」
「あ…、えっと…水泳部の先輩の事」
「ひょっとしてこちらはラブレターと言うお手紙でしょうか?」
「なんで分かったの?」
「あぁ、やっぱりそうなんですね」
「あっ…」
簡単に計られたにゃ。ちょろいにも程があるにゃ。まぁでも季優の事だからピンクのペンで書かれてた宛名を見る前に渡辺の慌て方を見た時点で何となく察してはいたんだろうけどにゃ。
「試してごめんなさいね」
「…だ、誰にも言わないでね?菊池先輩にも」
「どうしてです?せっかく書かれたのですから渡しに行かれたら良いじゃないですか?きっと菊池先輩も喜んで…」
「喜んでくれるわけないよ」
「え?」
「迷惑がられるに決まってるもん」
渡辺は噴水の縁に座ると飲みかけのカフェオレをストローでじゅ〜じゅ〜飲み始めた。…こいつまだ腹減ってんのにゃ?
「余計なお世話かもしれませんが、あまり食べ過ぎるとお腹を壊してしまいますよ?」
本当だにゃ。と言うか「いつまで食ってんだ!?」ってちょっと怒ってやれにゃ。
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