18人が本棚に入れています
本棚に追加
『あんたらに頼みがあんだけど…』そう言って勢いのあまり外してしまった部室のドアを片手に持って入って来た背の高い男子生徒は肩に制服のジャケットを羽織っただけの上半身裸に腹巻きを巻いた変態筋肉マンだったにゃ。あ、ズボンはちゃんと履いてるんにゃけども…。
彼を見て「きゃあーっ!変態!」と第一声を挙げたのは希空だった。
「はぁ!?誰が変態だよっ!?変態じゃねぇよ!」
「だって貴方裸じゃないのよ!?」
「ズボン履いてるだろうが!」
「上もちゃんと着なさいよ!あぁ嫌だ!」
ささっと優人の後ろに隠れた希空を見て「俺は変態なんかじゃねぇ!」ともう一度男子生徒は怒鳴った。
「あの、すみませんが…どちら様です?」季優が聞くと「俺は3年の服巻寿樹だ」と男子生徒は答えた。
こいつ腹巻って苗字だから腹巻巻いてんのかにゃ?
「腹巻って苗字だからそんな格好してんっスか?」
僕が今思った事と全く同じ事を優人が聞くと「違う」と腹巻は横に首を振った。
「ならなんでそんな格好してるのよ!?」
「暑いからだ!」
アホなのかこいつ…? 優人と希空がそう思ったらしい。だから僕が答えてあげよう。アホだにゃこいつ。
「あと服巻のはらは腹じゃなくて服の方だ!……俺ぁなぁ、1年の入学式の頃からずっと片想いしてる女が居るんだ…」
急に語り出したにゃ。語る前にドア返せにゃ。いつまで持ってる気にゃんだ?
最初のコメントを投稿しよう!