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事情はよくわからぬが神父が去り、信者も去って営業を続けられなくなった教会を一人で守るため、こうして占いで生計を立てているという。
「マリアさんは、もともと何か不思議な力があって占いの道を選んだんですか?」
「いいえ、霊感とかの類はさっぱり」
「え、じゃあ、何が占えるんですか?」
「金運でも恋愛運でも…って言うか、霊感さっぱりだから、もっともらしく占うために黒魔術の勉強したんですよ!」
マリアは真顔でそう言い切った。
「でも…」
「でも?」
「勘はちょっと、鋭いかもしれません」
「勘?」
「ええ、目を見れば…嘘をついているひとはわかります」
言われてすこしギョッとしたような来馬崎を、しばらくじっと見ていたが、何事も無かったかのようにマリアは明るく笑った。
「それで、何を占います?」
「そうですね…それなら、仕事運でも占ってもらいましょうか…じつは私、転職して三日前にこの街に引っ越してきましてね、前職は英会話教材の訪問販売だったんですがこれが酷いブラック企業で…少し心を病んでしまって退職したんです。それで心機一転やり直そうって、縁もゆかりもないこの街に仕事を求めて…なんとか就職できたんです」
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