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去るなら去ればいいと思いながら続けてきた僕の嘘を、君は泣き喚くことなくすんなり受け入れた。
やわな頬を伝い落ちる君の涙は、僕の心に空いたわずかな隙間を派手に刺激した。今まではただ縋りついては泣き叫んでいただけの君が、今日はまるで別人だ。
認めざるを得なくなる。
ついに見限られてしまったのだ。君を試してばかりのつまらない僕は、今日、とうとうひとりになった。
最初から恋ではなかったはずなのに、僕の手元に残ったものは、苦く寂しい後悔だけ。
〈了〉
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