それは、キスから始まった。

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カウンター席に川瀬と並んで座り、 カルビを焼きながら、 「川瀬。1ヶ月なんて言わずに、ちゃんと 付き合おうぜ」 と言ったら、川瀬が泣き出した。 「おい、こんなところで」 慌てて未使用のタオルハンカチを取り出し、 川瀬の涙を拭いてあげる。 「だって」 「たぶんこのまま、気持ちは冷めないし。 不思議な始まりだったけど、ただキスが したくて川瀬に会ってた訳じゃないから」 だから泣くなよとタオルハンカチを手渡し、 川瀬の髪を優しく撫でた。 「焼肉、冷めちゃうぞ。食えよ」 「うん」 僕より背の高い クールビューティーな川瀬が、 僕の肩にしなだりかかっている光景は、 側から見たらどう見えるのかと考えて、 笑いが込み上げてきた。 僕は川瀬の言う魔法に見事にかかり、 運命の恋に落ちた。 このまま川瀬を愛し川瀬に愛される日々が、 平穏に続くのだと信じて疑わなかった。
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