第2話 帰国子女

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第2話 帰国子女

薫「ふーん…今日からこの家に…ふーん…よろしく!」 え?えぇ!?事情も聞かずにいきなりOK!?母ちゃん頭大丈夫!? 薫「…って、オイ!!いきなり来て事情もわからずハイそうですか!って置いてあげられると思う!?」 翼「え?ダメですか!?」 薫「良いけどさ…」 良いのかよ!!と、キラリは心の中でツッコミを入れる。 薫「とりあえず事情を聞こっか。どうしてこの娘に近づいたの?」 そこかよ…翼とキラリは心の中で呟く。 翼「いや…近付いたって言うか…ヤンキーみたいなのに絡まれてて…キラリに助けて貰ったんで…」 薫「合格!」 え!?合格!?俺は何を合格したんだ!? 翼はこのブッ飛んだ母に拍子抜けしてしまう。 薫「キラリ、困ってる人を助けた、よくやったね!それでこそ我が娘だ!」 そっちかよ… 薫「で?翼は何でウチに居候したいと?」 翼「あっ…その前にキラリの母さんちょっと良いすか?俺めちゃくちゃ腹へってるんで、何か喰わせてもらっても良いすか?」 キラリ「おっ…お前…早漏(そうろう)のクセにいきなり図々しいぞ!?」 薫「キラリ!!図々しいの前にお前はダメでしょ!!」 いや…今のはそこじゃ無くて早漏の方をツッコまなきゃ… 翼は冷静に二人にツッコミを入れていた。 キラリ「え!?あっ…すいません…」 翼「てか、キラリの母さん!?先に早漏の方ツッコミましょ!?」 キラリ「は!?だってさっき母ちゃん言ったじゃん!」 薫「いそうろうね…」 キラリ「いそうろう?…じゃあそれで…」 じゃ…じゃあそれでって… 翼はキラリがどれだけ語学力が足りないのかと心配になった。 薫「うーん…困ったなぁ…いきなり翼が来るなんて聞いてなかったから…何にも用意してないわよ?どうする?」 翼「何でも良いっすよ?寿司とかでも良いし…」 す!?寿司!?おっ…お前…いそうろうのクセに…いきなり寿司とか言うか普通…どんだけお坊ちゃん育ちなんだよ!しまいにゃ母ちゃんマジでキレるぞ!? 薫「寿司かぁ…んじゃ食べに行こっか!」 え?えぇ!?寿司通るの!?どんだけ母ちゃん大盤振る舞いなんだよ! 翼「あっ!俺美味しい寿司屋さん知ってるんで!龍美(たつみ)ってとこで、けっこう雑誌とかでも紹介されてるとこなんだけど」 そ…それって…クルクル回転しない店じゃん…お…お前はどこまで空気が読めねぇんだよ…初対面でそんな高級な所連れてくワケねぇだろ! 薫「龍美!?翼はいつもそんな所に行ってるの?」 翼「いつもってワケじゃ無いけど、気が向いたらかな?月に二回ぐらい」 お…おぉ~い!お前ん家はどんだけ金持ちなんだよ! 薫「ハハハハハッ!翼は面白いね。それだけ冗談が上手かったらホストとかやれるよ!」 じょ…冗談だったのか…あぁビックリした… 翼「冗談?あぁ…ジョークジョーク…普通はそんな所行かないよね…行くならイタリアンとかフランス料理だよね…」 薫「さぁ、二人とも車に乗って!」 三人が向かったのはどこにでもある普通のチェーン店の回転寿司だった。 車から降りて翼はすぐにキラリの腕を掴んで薫から離れて小声で言った。 翼「なぁ、キラリ…もしかしてここで食べるの?」 キラリ「だって翼が寿司って言ったんじゃん…」 翼「ふ…ふーん…そっかそっか…」 キラリ「もしかして寿司じゃない方が良かったの?」 翼「いや…そうじゃなくてさ…」 キラリは首をかしげていた。 三人はボックス席に座って 薫「さぁ好きなの頼んで良いわよ!遠慮しないで沢山食べて!」 翼は皿が自動で移動していく光景を物珍しそうに眺めていた。 翼「最近のサンプルって凄く進化してんだなぁ~!まるで本物の寿司みたいだ!」 キラリ「あんた何をとんちんかんなこと言ってんの?これは本物じゃん!」 翼「え!?だってどこにも大将とか居ないし…握ってる人居ないじゃん!」 翼はそう言って辺りを見回した。皆がこの回って来る皿を取って普通に食べてる姿をみて驚いた。 翼「もしかしてここでは…みんなおまかせで握ってもらって食べてんのか?」 キラリ「んなワケ無いじゃん!ちゃんと注文したりして食べたい寿司食べてるよ!翼はこういう店来たことないの?」 翼「あ…あぁ…あるよ…忘れてたわ…そうだったそうだった!俺帰国子女だからさ…日本のシステムすっかり忘れてたわ…」 キラリ「きこくしじょ!?」 翼「あぁ…俺の親父は "石油王に俺はなる!" とか言ってな」 薫はそのやり取りを見て笑ってはいたが、この翼という男がどこぞの御曹司だと確信を持っていた。あえてそれを知らぬ振りをして冗談を言ってるかのように合わせていた。 キラリ「何それ!どこかの漫画の名セリフみたい… 薫「キラリ、翼に注文の仕方教えて上げて!」 キラリ「はぁい」 翼は初めて味わう回転寿司の味に こ…こんな薄っぺらい小さなネタ初めて見た…しかも…かなり鮮度が落ちてるようだけど…本当に喰っても大丈夫なんだろうか… そんな不安を感じながら食べていた。
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