流れる雲に君を問う

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 先ほどとは違い、体の動きやペース配分に注意して加速していく。  すると、隣に違和感を覚えた。視線だけわずかに横へやり、ぎょっとする。  ――先輩がついてきている! 「ちょっと! なんで走ってるんですか!」  ゴールまでなんとか走りきり、到着するや否や大声で抗議した。隣で足を止めた先輩が、きょとんとしてストップウォッチをかかげる。 「え? だって、ゴールの場所教えてもらってないだろ。聞こうとしたら走り出しちゃうし、そしたら一緒に走るしかないでしょ」 「なんで私より速いんですか!」 「え? そうだった? それより、今のタイム見る?」  にこにこして画面を見せてきたが、私はそれを一瞥するにとどめ、すぐに先輩の顔をにらみつけた。 「むかつきます! もう一回勝負して下さい!」 「別にいいけど……、え、勝負?」  私の着ているのはユニフォーム。対して、先輩は決して動きやすいとは言えない制服に革靴、そして手にはストップウォッチ。しかも、私の後から走り出して、ほぼ同時にゴールした。  どういうことなの。  その後、私は何度も勝負を挑み、何度となく負けたのだった。
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