プロローグ

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プロローグ

それは、ひどく蒼い鱗であった。 海をデザインしたシアターの天井から、キラキラと刺すような照明の中を優雅に泳ぐように、それは舞い降りてくる。 人魚を模したコスチュームを着て、キャラクターそのものになりきる外国人のキャスト。 その大袈裟で降り注ぐような演技を、日常とのギャップを乗り越えて、まだ小さな視界に受け止めた。 これが… “本当の人魚”なんだ。 私は、そう、思った。
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