初恋

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いつも少し離れてその人を見ていた。 友達と話している時も、無意識のうちに彼が教室のどこにいるのか探していた。 廊下ですれ違う時は、視線を外し意識している事を悟られない様に。 声が聞ければそれでいい。クラスメイトの1人でいいのだ。 声を聞けば鼓動が高鳴り息が出来なくなること。 その人を想えば涙が出ること。 この気持ちは、彼にも友達にも知られたくなかった。 特別な感情を口に出せば、安っぽいものに変わってしまう気がしていたから。 いつか想い人と共有していた時間は終わる。 別々の道を行きこの先会うことが叶わないかもしれない。 でも思い出す度に、胸が詰まる心地よい痛みを感じることが出来るから、想いは続く。淡く長く。 何も打ち明けず離れたからこそ初恋は色褪せない。
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