結尾美織はみそ汁が飲めない

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 私は、みそ汁を飲んだことがない。  26年間の人生で口に触れたこともなければ触ったこともない。  嫌いだからではない。  他の味噌料理は食べれるのでアレルギーでもない。  そもそも口に触れたこともないから嫌いなのかどうかすら定かではない。  なぜなら私はみそ汁に触れることすら出来ないのだから。  母曰く、それは何回目かの離乳食の時に起きた。  結尾(けつお)家夫婦の初めての子どもとして生まれた私は、それは大そうな愛情を注がれた。  母は、いつも「美織(みお)は、なんて可愛いの かしら」とか「将来は美人さんね」と愛情たっぷりの言葉を注ぎ、常に一緒にいた。  父は、仕事から帰るたびに「これ美織が喜ぶと思って」と服やおもちゃを買ってくるし、オムツを変える、ミルクを上げる、寝かしつけまで率先してやった。  それはそれはの夫婦揃っての親バカぶりだったと祖父母は言っていた。  ちなみにこの愛情の注ぎ方は2歳下の弟にも遺憾無く発揮されている。  そんな2人だからお宮参りやお食い初めにも並々ならぬ力を注いだし、離乳食に関してはテキスト本やネット動画などを見て研究し尽くしていた。
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