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お兄ちゃんは、とても背が高いです。ボクも高校生になったらこれくらいにはなれるのかな、っていつも想像してしまうくらい。そんなお兄ちゃんが今はボクと同じ目線になってくれています。頭は変わらず何度もなでながら。
「宿題、やっぱり一人じゃ難しかったです」
ポロポロとあの日のゼン兄みたいに、ボクの目から涙が落ちていきます。ゼン兄のことを、ボクは最近見ていません。あんなに毎日お兄ちゃんと遊んでいたのに。
「じゃあ、泥棒さんがこのテストを盗んじゃおう」
そう言って、お兄ちゃんはボクのくしゃくしゃになったテストをポケットに入れました。
「次から頑張ればいいんだよ、アカネ。テストが難しくて答えられなくたっていいんだよ。次もあるし」
やっぱりお兄ちゃんはすごく優しいです。泥棒さんって、言っていたゼン兄が間違ってると思います。でも、お兄ちゃんは「ナイショだよ」だよしかあの日言ってくれませんでした。だから、本当のことなのかもしれない。
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