お兄ちゃんは泥棒さん？

　くしゃくしゃのテストが、終わったと思えばまた違うモンダイ発生です。ボクはお兄ちゃんとどうしていけばいいのでしょうか？

「お兄ちゃんは、ゼン兄の物を盗んだの？」

　お兄ちゃんは少しびっくりした顔をしてから、ボクを抱き上げました。

「お兄ちゃんとおやつでも食べようか」

　はぐらかされた、と思いましたがお兄ちゃんはお気に入りのアイスを二つ出してソファに座ります。

「少し難しい問題なんだ」
「お兄ちゃんは泥棒さんではないんですか？」
「泥棒さんだよ、アカネのテストだって盗んだだろう？」
「でも、お兄ちゃんは悪い人じゃないです」

　お兄ちゃんは短く、ううーんという声だけ出してからまた少し悲しそうに笑いました。ボクは、ゼン兄も好きでした。ボクのことをからかったりするけど、ボール遊びも、公園でのブランコこぎも一緒にしてくれるもう一人のお兄ちゃんだと、思っています。