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「さて、仕事があるんでそろそろ失礼するよ。いやあ、今日も楽しいひとときだった。また時間ができたらお邪魔する」
そして、そんな断りを笑顔で入れると、来た時と同じように突然、さっさと帰って行ってしまう。
なんだか嵐のように来て、また嵐のように去って行ったが、まあ、これがいつもの彼である……いや、それもただ演じているだけの仮の姿なのかもしれないのだが……。
しがない著述家である私ことモーリー・ブルンヴァンは、ひょんなことからかの有名な大怪盗アルベール・ド・ラパンと知り合いになり、なんでか知らないが気に入られたらしく、今日のように彼の冒険譚を時折聞かせてもらっている。
そんなわけでまだまだ他にも、奇想天外な盗賊魔術師にまつわる物語をいろいろ知ってはいるのだが、それはまた、何か機会があった時にでもお話することとしよう……。
(Le Voleur de Grimoire 〜魔導書の盗賊〜 了)
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