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 ママが二人を止めたんだけどね……。 「ねぇ、おかあさん、このカチューシャ、私が貰ったんだよね」 「そうよ」 「杏のは?」 「一つしかなかったから、また今度だって、菜々美おばさんが言ってよ。だから……」 「ほしい! 杏、それがほしいの!」 「だから、これは私の!」 「違うよ。おかあさんがさ、交代って言ったもん」 「えっ? あっ、聞いてたの?」 「何言ってんのよ。杏、寝てたじゃん」  杏ちゃんはね、たまに寝てる様で寝ていない時があるんだ。 「泣くの? 泣いてもダメだからね!」 「泣かないもん…」 「泣いてんじゃん! いつも泣けばいいと思ってるじゃん」  もう杏ちゃんは、わーってなっちゃって愛ちゃんを押しちゃって。倒れた愛ちゃんは、足で杏ちゃんを蹴飛ばしてね。僕、必死になって二人を止めたんだけど……。 「ワンワンワン! (二人ともケンカしないで!)」 「もう! いい加減にしなさい!」  ママが洗濯物のシーツを二人に被せて抑えたんだよ。それでも暴れて……。  いつもは仲良しなのに、僕は見てるのが辛かったよ。しかも、そのケンカは思ったより長く続いたんだ。
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