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葵にはとても印象的な出来事があった。
確か小学校ニ年生のときのことだ。
葵がどこかから帰って来た時、両親が休憩でお茶を飲んでいた。
すると母親の明子が「葵ちゃん、これ食べる?」と言ってお菓子を差し出した。
葵は子どもだったし、くれるなら食べると言う軽い気持ちで頷いた。
その時、父親の修二が言った言葉は何十年経った今でも葵は忘れていない。
「葵、お前はそれを食べちゃだめだ。お母さんは仕事をして疲れて休んでるんだからこれを食べるのはお母さんだろ。それがわからなきゃいけないよ」
本当に子どもの考えが及ばない次元であらゆることを教えて来た父親だった。
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