洗濯日和

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皇輝と一緒にいるのは本当に居心地がよくて、このまま結婚するのかな……とぼんやり思い始めたのは三十二歳の春のこと。十代で早々と結婚を決めた親友が助言をくれた。 「ユーミンとヒコーキって、もう結構付き合ってない?結婚は?どうすんの?」 「うーーん。そのうちするんじゃないかな?」 「よく考えた方がいいよ。結婚したら驚くこといっぱいだから。開けてびっくり玉手箱だよマジで。親を見るといいらしい」 私はそれを聞いて、急に不安になってしまった。皇輝は家族の話をあまりしたがらない。今の父親と、血の繋がりはないと聞いた。母親が再婚したらしい。 親友曰く危険要素の一つになるらしいけれど、根付いた愛情があるのに別れを切り出すなんて考えられなかった。 そこで、当たると評判の占い師に運勢を見てもらうことにした。私が不安を洗いざらい打ち明けると、占い師は柔らかく微笑んだ。 「大丈夫よ。あなた達なら乗り越えられる。そんなに悩むくらい彼のことを愛しているってことでしょう?このお守りを持っているといいんじゃないかしら。何かあったら、これを見て今日のことを思い出して。ああ!お代は結構よ。プレゼントだから」 占い師がくれたお守りには、私の好きな薔薇のイラストが描かれていた。とてもリアルで綺麗だ。心の内を打ち明けただけで随分と楽になった私は、お守りをそっと鞄にしまい頭を下げた。 「ありがとうございました。信じてついていこうと思います!」 付き合い初めて十年。占い師が告げた時期のとおり、それまで一度も喧嘩をすることなく私と皇輝は結婚した。
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