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しんしん、しんしん、雪が降る。
怒らないでよ冬将軍。次の作戦をちゃんと考えるから。
耳を刺す風が「俺のところへ来い」と将軍の囁きを運んでくる。空に映る、すらりと長い氷の刀。触れるだけで凍えてしまいそうな雪風の鎧。
でも待って。あなたは抱きしめる力が強いでしょう?ぼくだってできれば痛くて怖いのは一瞬がいいんだ。
厚く世界を閉ざした雲が、カンカンと鳴る音を反射させてぼくに届ける。
…あった。トラックの代わりになるものが。
ぼくは踏み切りまで早足で歩いた。
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