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カンカン カンカン
足が震えるのは、寒いからかな。怖いからかな。
カンカン カンカン
降りてきた遮断機を避けながら自転車がそばを通り抜けていく。
カンカン カンカン
雪で滲む線路の向こうにライトがポッと浮かび上がる。
カンカン カンカン
傘を差した人はみんなうつむいている。
カンカン カンカン
ライトが近づいてきて、恐ろしい轟音は地鳴りに変わる。
カンカン カンカン
おい、子どもがいるぞって。危ないから戻れって。
でも全身が震えちゃって、もう動けなくて。
カンカン カンカン
あ、待って。ミニカーが落ち…
「楓!!」
しゃがんだぼくに、吹雪をまとう鉄の怪物が食らいつく。
その直前。踏切を越えた黒い影がドンっと体にぶつかった。ぼくの知ってる、ぼくより少し低い体温。
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