0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ずっと思ってたんだけど。お前、今日テンション高くね?」
そう言ってきたのは、友達の山ちゃん。
公園でサッカーをした帰り道だ。
「うん!今日、やっと叶うんだ!高学年に上がるから、もう責任持てるだろう?って、お父さんが」
わくわくが抑えきれない。
「おー、やっとか!お前ん家のおっちゃん、厳しいからな」
真面目な顔してうんうん頷く山ちゃんは、砂埃まみれの顔で、何だか面白い。
そう言う僕も、きっと同じ。
帰ったらお母さんに怒られるけど、今日はそれも気にならなかった。
「ルールは厳しいけど、それ以外なら優しいよ?勉強も教えてくれるし、字は綺麗だし」
「へぇ〜。おれだったら、ちょっと面倒臭いけど」
「山ちゃん家のお父さんも優しいよね?」
「うちはその分、母さんが鬼だから」
「そう?遊びに行った時、優しかったよ?」
「それは、ソトヅラが良いんだよ」
「ふーん」
何だか良く分からないけど、ソトヅラが良いらしい。ソトヅラって何だっけ?
「じゃーな!また明日!今度、見せてくれよ!」
「うん!また明日!」
手を振って家に入る。
思った通り母さんに怒られたけど、そんなこと気にならなかった。
だって、やっと、やっと解禁だ!!
最初のコメントを投稿しよう!