解禁、僕の願い

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「ずっと思ってたんだけど。お前、今日テンション高くね?」 そう言ってきたのは、友達の山ちゃん。 公園でサッカーをした帰り道だ。 「うん!今日、やっと叶うんだ!高学年に上がるから、もう責任持てるだろう?って、お父さんが」 わくわくが抑えきれない。 「おー、やっとか!お前ん家のおっちゃん、厳しいからな」 真面目な顔してうんうん頷く山ちゃんは、砂埃まみれの顔で、何だか面白い。 そう言う僕も、きっと同じ。 帰ったらお母さんに怒られるけど、今日はそれも気にならなかった。 「ルールは厳しいけど、それ以外なら優しいよ?勉強も教えてくれるし、字は綺麗だし」 「へぇ〜。おれだったら、ちょっと面倒臭いけど」 「山ちゃん家のお父さんも優しいよね?」 「うちはその分、母さんが鬼だから」 「そう?遊びに行った時、優しかったよ?」 「それは、ソトヅラが良いんだよ」 「ふーん」 何だか良く分からないけど、ソトヅラが良いらしい。ソトヅラって何だっけ? 「じゃーな!また明日!今度、見せてくれよ!」 「うん!また明日!」 手を振って家に入る。 思った通り母さんに怒られたけど、そんなこと気にならなかった。 だって、やっと、やっと解禁だ!!
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