365(11)スキ、キライ、

11月4日

あなたを好きになって、好きになったもの。
朝早い休日。
ドライブ中に歌うこと。
出汁の利いた和食。
隠し味に使う調味料が増えた。
女性らしいラインの服が、目につくようになった。

あなたを好きになって、嫌いになったもの。
ひとりきりの時間。
ありがとうとごめんなさいを言えない人。
ファストフード店に、ひとりで入らなくなった。
あてもなく、メンズショップに立ち入るようになった。

朱に交われば赤くなるとは、よく言ったもので。
あなたもどこかで、変わっていてくれればいいな、なんて。

でもちゃんと、変わらないところもある。

完成したばかりの蕎麦は、早く食べてと誘わんばかりに湯気を立てる。
お言葉に甘えて。
「いただきます」
まっさきにかき揚げにかぶりつく彼は、サクサクの食感を楽しみたい人。
「ぶあつっ」
かき揚げ用の調理器具を買ったのも、丼物が多い彼の影響。
「余った衣で、ウインナー揚げたんだけど」
「マジ?」
まず箸でかき揚げを押さえる私は、衣を汁でひたひたにしたい人。
邪道だなんて笑い合った食事が、懐かしい。
「全部食べていいよ」
「不健康だなあ」
お決まりのやりとり。夕飯はあっさり、と肝に銘じる。

そんな何てことない休日も、私は大好き。

かき揚げの日