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僕はゆっくりと立ち上がる。景色は倒れる前と同じだった。葉っぱが近くに沢山落ちていて。空気は乾いていて。近くに井戸があって。
しかし僕はつまづいて井戸に落ちて死んだ訳ではないのだ。ただ転んだ。落ち葉なぞも関係ない。落ち葉で滑った訳でもない。かといって土が湿っていた訳ではない。
だったら何が原因だ?それは単純明快、至極簡単。ただ、僕がつまづいて転んだだけなのだ。
ただそれだけなのだ。
だが今はそんなことなぞ本当にどうでもいい。それよりも、僕が今、死んでいるのか、はたまた死んでいないのかが問題なのだ。
これは僕の完全なる憶測に過ぎないが、僕は幽霊となっているのだと思われる。幽霊となって、彷徨う身なのだ。
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