2

1/1
前へ
/5ページ
次へ

2

 僕はゆっくりと立ち上がる。景色は倒れる前と同じだった。葉っぱが近くに沢山落ちていて。空気は乾いていて。近くに井戸があって。  しかし僕はつまづいて井戸に落ちて死んだ訳ではないのだ。ただ転んだ。落ち葉なぞも関係ない。落ち葉で滑った訳でもない。かといって土が湿っていた訳ではない。  だったら何が原因だ?それは単純明快、至極簡単。ただ、僕がつまづいて転んだだけなのだ。  ただそれだけなのだ。  だが今はそんなことなぞ本当にどうでもいい。それよりも、僕が今、死んでいるのか、はたまた死んでいないのかが問題なのだ。  これは僕の完全なる憶測に過ぎないが、僕は幽霊となっているのだと思われる。幽霊となって、彷徨う身なのだ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加