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「危ない!!」
ひかれると思った瞬間
腕を引っ張られて、男の人に覆いかぶさってしまった。
「いててっ……」
「ごめんなさい!大丈夫でしたか?」
「僕より、君と子ねこは?」
「大丈夫です」
男はライダースーツを身にまとい
フルフェイスのヘルメットをかぶっていて
近くには大きなバイクがおいてあった。
「助けてくれて、ありがとう」
「え?」
「その子ねこ、助けに行こうか迷ってたら、君が一直線に助けに行って…よかったな、お前。いい人に助けてもらって」
がっちりとした体型の人だが、
子ねこにそっと触れて撫でるしぐさや
話しかける声はとても優しくて
顔は見えなくても、いい人なのが伝わってきた。
「でも、私、家で飼えないんです。」
「え?」
「時々帰ってくる兄が猫アレルギーなので」
「……じゃあ、僕が飼うよ」
「本当ですか?ありがとうございます!よかったね、子ねこちゃん、素敵な飼い主さん見つかって」
「でも、この子、一週間ぐらいは小まめに面倒を見たほうがいいよね、きっと」
「そうですね…かなり小さいし、血も出てるから怪我もしてるかもしれません」
「飼いたいけど、ちょっと一時家に帰れないかもしれない」
「その間ぐらいなら、私面倒みます」
「じゃあ、僕の家に子ねこを置いておくから、面倒をみてくれる?」
「いいんですか?」
「うん、僕は家にいないから、全然いいよ。猫アレルギーのお兄さんのためにもね」
「ありがとうございます!」
「ゴールデンウィークだけど、予定は?」
「ないです、全然!ぼっちなので!」
「それならよかった」
ぼっちだと言ったら引かれると思ったけど
よかったと言ってもらえて
私を受け入れてくれている感じがした。
私は、素直に嬉しかった。
彼が教えてくれた動物病院に私は歩いて連れて行き
彼はその間、子ねこのご飯などを買ってくれた。
病院で診察を終えると、なぜかお金は請求されなかった。
「払ってもらってますので」その言葉がひっかかりつつも
手の中でぐっすりと寝ている子ねこが可愛くて
早くお家に連れて帰りたくて、彼に言われた場所に合流した。
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