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「えみ!起きろ!」
ドンドン!
押し入れの襖を誰かが強くたたく。
えみと呼ばれたその少女は、そっと襖をあける。
「早くしろ!客だよ!」
襖を叩いた、きつめのパーマをかけた髪の長いおばさんが 少女に言った。
「まま。お腹空いたよ」
「うるさい!後で何か食わせてやるから今は働け!イイコにするんだよ」
おばさんの後ろに、小太りの親父が ニヤニヤと笑いながら立っていた。
少女は、ゆっくりと押し入れから出てきて
その親父に挨拶した。
「だいじょうぶだよ。おじさん、優しいからね」
少女と親父は、ベッドだけが置かれたその部屋に残り ママと呼ばれたおばさんは 部屋を出ていった。
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