6人が本棚に入れています
本棚に追加
六月・紫陽花の湯
みなさんこんばんは。佐山遼河です。今年は、梅雨って言ってもそんなに雨の日が多くないですね。
実家のマンションで、ひとり勉強していました。…え?オレだって、たまには勉強とか宿題もしてますよ。いつもいつも練習したり、はたの湯に入り浸ってるだけじゃありません。
いやまぁ、遊び呆けていたので中間の成績は散々だったんですよ。赤点は免れたけど、期末の成績もこのままだと野球部の練習に参加できず補習だとか…。まさか自分の人生で、こんな漫画の主人公みたいな展開が訪れるとは。ってか、補習だけはアカン!はたの湯に行って、潤くんに会える機会が減っちゃう!
「お兄ちゃん、珍しくお部屋にこもってお勉強?」
「朝陽たち、宿題の作文書いてたの。こんなので、いいのかなぁ?ちょっと読んでくれる?」
双子の弟と妹、太陽と朝陽です。現在、小学六年生。こんなにお兄ちゃんお兄ちゃん言って慕ってくれるのも、今のうちだけですよ。こいつら二人とも成績優秀だから、こんな底辺高校の兄に宿題見てもらう必要ないと思うんだけどなぁ。仕方ない。腐っても、こっちは高校生だし。
どれどれ。「もし家族や友達にLGBTQの人がいたらどうするか」?えらくタイムリーと言うか、見せられた家族が気まずくなる宿題出しますね学校?あぁでもオレも小学生の時、似たようなの書かされた記憶はあるわ…。
兄妹の作文にはそれぞれ、「世の中には多様性があって当然だから、なんの気にもせずそれを認めていく」みたいな内容が書かれていた。ご立派。流石に、優等生だな。オレもオレで、ここまでの文章力ではないけど似たような事を書いていた気がする。
この二人は、オレが男の事を好きになったって言ったらどう思うだろう。いやむしろ、オレ自身が逆の立場であったなら?
学校の作文なんてのは、その場その場で先生が喜びそうな事を書いていればいい。そうすれば、いい成績が取れるから。それはそれとして、現実は別。多様性なんざ、知ったこっちゃない。身内にそんな人間がいるなて、こっ恥ずかしいわぁ…。って感じで、距離を置かれるようになるのかなぁ。
…何となく、やだな。そんなのは。
最初のコメントを投稿しよう!