(奇妙な)穴の解禁

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 その火の見やぐらにキモトは降りたが、彼自身が小さいため、カネに届かない状態だった。 「こいつは困ったな‥‥。火事が起きたことを知らせたいのに‥‥」  すると、黒トンボが羽をバタつかせているので、彼は察し、背中に乗った。  黒トンボは、カネの真上でホバリングを始めた。  つまり、空中で停止したように飛びつづける状況を始めたのだ。 「なるほど‥‥。この状態で、オレにスマホで叩けということか」  キモトはスマホを取り出すと、巨大なカネを叩いた。  なんとか音が出た。  江戸の街は(特に深夜は)かなり静かなので、近所の連中が起きてきて、火事を見付け、 「うわー! 火事だー!!」  騒ぎ出してくれた。 「よしトンボ君、これでいいだろう。もう行こう」  黒トンボは一旦、火の見やぐらの手摺に降りて休憩した。  
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