(奇妙な)穴の解禁

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 すると巨大な黒トンボは、フワッと浮き上がり、そのまま前方へ進んで、壁の上の縦穴から外に飛び出した。  外はもう夜で、星が見えていた。  風は多少あったが、キモトは実に気分よかった。  やがて見えてきたものは‥‥? 「ん? ここは何処の街だ‥‥?」  そこに広がっていたのは、今まで見たこともない‥‥古ーい街並みだった。 「えらく海岸が広いな‥‥。ん? あれは‥‥!」  彼は、ある建造物を見付け、呆然とした。 「あの中央に在るのは、城だろう。だとしたら、ここは江戸の街か‥‥」  そう。巨大な黒トンボに乗ったキモトの下に広がっているのは、江戸の街だった。  やがて黒トンボは、下町にある一軒の民家に近付いた。  その時、キモトは驚いた。  それまで彼は、黒トンボが巨大になったと思っていたが、自分が小さくなっていたのだった。
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