10人が本棚に入れています
本棚に追加
すると巨大な黒トンボは、フワッと浮き上がり、そのまま前方へ進んで、壁の上の縦穴から外に飛び出した。
外はもう夜で、星が見えていた。
風は多少あったが、キモトは実に気分よかった。
やがて見えてきたものは‥‥?
「ん? ここは何処の街だ‥‥?」
そこに広がっていたのは、今まで見たこともない‥‥古ーい街並みだった。
「えらく海岸が広いな‥‥。ん? あれは‥‥!」
彼は、ある建造物を見付け、呆然とした。
「あの中央に在るのは、城だろう。だとしたら、ここは江戸の街か‥‥」
そう。巨大な黒トンボに乗ったキモトの下に広がっているのは、江戸の街だった。
やがて黒トンボは、下町にある一軒の民家に近付いた。
その時、キモトは驚いた。
それまで彼は、黒トンボが巨大になったと思っていたが、自分が小さくなっていたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!