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「いらっしゃい」
カウンター席のみの小さなお店。
清潔感がある明るい白壁に、温かみを感じる木目のカウンター。
ドラマで見た事があるような小料理屋さんだ。
カウンターの中にはパパより少し年上っぽい店主。
「お、本当に娘さん連れてきたね」
店主がパパに声をかける。
「念願ですからね」
パパは嬉しそうに店主に笑顔を向けて、店内に歩を進める。
私もパパの後ろについて店内に入った。
「音羽、こちらこのお店のご主人、河合さん」
「こっ、こんばんは」
突然紹介されて、慌ててペコリと頭を下げる。
河合さんは私の姿をみて、うんうん、と頷くようにして、感慨深げな笑みを浮かべた。
「ようこそ、音羽ちゃん。会えるのを楽しみにしてたよ」
「え?」
楽しみ?さっきから河合さんは、私を知っているような事を言う。
不思議に思ってパパを見つめると、パパが照れたように頬をかいた。
「河合さんはパパの大学時代の先輩でね。この店始める時に連絡もらって、それから時々来てるんだよ」
「ま、そんな話いいから、座って」
私は、はじめてのカウンター席にドキドキしながら、パパと並んで腰掛けた。
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