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<ATM>
この商業施設の閉店は、夜の9時だ。
上階に飲食店があるので、夜の7時過ぎは人通りが多く賑わう。
しかし、今日は平日で雨が降っているせいか、人の流れは少ない。
時計を見ると7時、あと2時間ある。
ここにわざわざやって来るお客さんは、さすがにいないだろう。
スマホで雨雲レーダーを確認すると、もう少しで豪雨がくるようだ。
私は、エスカレーターの下のわずかな空間を利用した、ブースの先をにらんだ。
正面は、わずかにプライバシーを確保するための衝立、
机を置くと、ブースの横幅いっぱいの広さ。
机の前には、パイプ椅子が2脚置いてある。
私は黒のテーブルクロスに置いてある、タロットカードに手を置いた。
店じまい・・するつもりだった。
「あの・・今、占ってもらえますか?」
ひょいと衝立から顔を覗かせたのは、やや、長髪、黒縁眼鏡の細面の男性。
それも一人で来たらしい。
珍しい・・
占いに来るのはカップル、女友達同士が多いのに・・
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