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切実さを帯びた声、そして私を見つめるその瞳に……勝てるわけがなかった。
「……うん、そうだね」
長瀬が限界だと言うのなら、そうなんだろう。
それほどまでに想っていてくれることを、もう疑ったりはしない。
「私も探してみる。どんな部屋がいいかな」
少しだけ照れくさいけれど、そんな風に答えると、長瀬はふっと和らいだ笑みを見せてくれた。
『設備なんかの条件もすり合わせないとな』
「確かに。家電もどっちの使うとか、新しく買うとか決めなきゃ」
『あと、空間のイメージとかな』
「あ、いいね。理想は高く!」
拳を握りしめてそんなことを言えば、長瀬は『ふはっ』と笑った。
気が抜けた笑顔に、私の心もほぐれていく。
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