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『まあ、前向きになってくれたみたいで何よりだ』
「それはまあ……ちょっと楽しみになってるけど」
『ふうん? ちなみに、その楽しげな想像の中に俺はいるのか?』
意地悪そうな視線を向けられて、つい、唇を尖らせてしまった。
「……ご想像の通り、普通にいらっしゃいましたけど?」
だって、新居のベランダで楽しい晩酌タイム、を想像したとき。
当たり前みたいに、長瀬はそこにいた。
冷えたビールを持っていたり、グラスを掲げていたり、おつまみを味わっていたり、こちらを向いて微笑んでいたり。
想像上で切り取ったシーンのどこにでも、長瀬は自然に馴染んでいた。
わかりきっていることを聞く長瀬に不満げな顔を向けて、あれ? と思う。
長瀬にしては珍しい、複雑そうな顔……っていうか。
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