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「……え? もしかして、照れてる?」
『……悪いか』
「えっ、え!? 本当に!?」
『お前は俺を何だと思ってんだよ』
苦い顔をした長瀬が、グラスに残ったワインを飲み干した。
『お前が楽しそうに想像してる顔見て、そこに俺がいりゃいいなって思ったんだよ』
「わあ……」
長瀬でもそんなこと、思うんだなって。
ちょっと意外ではあった。どちらかというといつも私が翻弄される側だから、かもしれない。
思いもよらない可愛い一面を見て、何だか心がムズムズする。
今ここに長瀬がいたら、絶対撫でてる。猫や犬にするみたいに、頭をくしゃくしゃに撫で回してる。
『……なんか変なこと考えてるだろ』
「え? そ、そんなことないけど?」
じとっとした目を向けてきた長瀬に、私は素知らぬふりを貫いた。
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