419人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
『つーか、澪の作ったもん食いたい』
「私は長瀬の作ってくれるご飯が食べたいよ」
『大したもん作ってねーけどな』
「それは私も一緒だから」
苦笑しながら、飲みつつ食べつつ画面越しの長瀬と向き合う。
仕事の話とか、最近あったこととか、なんでもない話をする週末。
自分が食べたいものを自分のために作って。
こうして、ゆっくりと料理とお酒を楽しむ時間はもちろん、大事で。
肩の力が抜けて、心がほぐれるのも、わかってるけど。
画面越しの長瀬の表情は、柔らかい。
恋人同士になって、よく見る顔だ。
それでも。
「……やっぱ、ちゃんと、会いたいね」
『……』
ぽつり、呟いてしまった本音に。
画面越しの長瀬は一瞬押し黙って。
何か言いたげにした後で、はあ、と大きく息を吐いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!