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「あ、もしもし? 聞こえる?」
『聞こえてるよ。そっちは何? 風呂上がり?』
「うん。これから晩酌」
画角を微調整して、私はビールをグラスにあける。
綺麗に注げたグラスを持ち上げて、画面越しの彼に掲げた。
「じゃあさっそくだけど、乾杯!」
『こっちはもう飲んでるけどな。乾杯』
苦笑交じりの彼に笑顔を返して、ぐっ、とグラスを傾ける。
乾いた喉に、流しこめるだけのビールを流して、飲み込んで。
最後に、んっ、と息を吐いた。
「……はあー、おいしっ」
『そりゃ何よりだ』
「風呂上がりのビールは最高だー」
『確かにな』
ふっと緩んだ彼……長瀬の手には、ワイングラス。
もう赤に進んでいるらしい。
今日は金曜だとはいえ、そこそこ飲んでいるんだなと思う。
グラスをテーブルに置いて、画面を覗き込むように身を乗り出す。
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