Remote ***【溺れる獣と甘い罠】番外編(4)

1/26
415人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
  「あ、もしもし? 聞こえる?」 『聞こえてるよ。そっちは何? 風呂上がり?』 「うん。これから晩酌」 画角を微調整して、私はビールをグラスにあける。 綺麗に注げたグラスを持ち上げて、画面越しの彼に掲げた。 「じゃあさっそくだけど、乾杯!」 『こっちはもう飲んでるけどな。乾杯』 苦笑交じりの彼に笑顔を返して、ぐっ、とグラスを傾ける。 乾いた喉に、流しこめるだけのビールを流して、飲み込んで。 最後に、んっ、と息を吐いた。 「……はあー、おいしっ」 『そりゃ何よりだ』 「風呂上がりのビールは最高だー」 『確かにな』 ふっと緩んだ彼……長瀬の手には、ワイングラス。 もう赤に進んでいるらしい。 今日は金曜だとはいえ、そこそこ飲んでいるんだなと思う。 グラスをテーブルに置いて、画面を覗き込むように身を乗り出す。 .
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!