夢なの?現実なの?

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夢なの?現実なの?

 ……っ、……うっ、……はあぁっ、……っ、……っ、……ううっ。  引きずりこまれた夢の中で、私はあの女に嫉妬していた。  あの女は輝いているのに、どうして私は萎んでいくのかしら。  ジュンくんは会ってもくれないし、電話もしてくれない。私が処女だからかしら? 性的に幼いからかしら。処女の方が虐めがいがあるの、あなた知らないでしょ? 経験のある女をいじめるよりずっと刺激的だと思うよ。なんで私じゃないの? なんであの女なの? あの女にもジュンくんは結婚しようなんて持ち掛けたのかしら。  ……んっ、……ううっ、……んんっ、……うふん、……んんっ。  誰彼かまわず手を出す男子ではないと確信していたのに。聖なる体育館であんなことをする男子ではないと確信していたのに……。ほら、みんな試合に勝とうって一生懸命練習してるよ。なのに、ジュンくんはどうして体育館の片隅で女を虐めてるの?   うふん……、あっ……、はあぁあっ……、んん……、ああん……。    愛理さんの躰はクモの巣に引っかかった哀れなモンシロチョウのようにバレーボールネットに絡み取られている。ジュンくんに躰を撫でられ快感に震えるたびに、肉感的な肢体にネットが食い込んでいく。でも、演劇部の愛理さんがどうしてバレーボールのユニフォームを? 上は背番号の付いたシャツ。でもボトムはビキニ。シャツには二つの乳首。下には股間に筋を浮かべ愛理さんはもだえ苦しんでいる。いや、苦しんでなんかいない。快感に悶えているのだ。あのうっとりとした表情。ジュンくんに虐めらることが生きがいだと書いてある。  あなたは愛理さんが好きなんじゃない? 演劇部で一番きれいな彼女。芸能界入りしても十分通じそうなルックスとボディー。身長はあなたマイナス7センチといったところ。とてもお似合いなカップルじゃない? なのに、なのに‥‥‥。  どうして私に「結婚しよう」なんて言ったの? どうして私は「いいよ」なんて安請け合いをしたのだろう。それさえなければこんなに激しく失望することもなかったのに。  私は夢の中で絶望に打ちひしがれているのだった。
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