積弊清算

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積弊清算

  「私たちの高校、どうなっちゃうんだろう……」 「気味悪いわ。私たちの周りで一体何が起こってるの?」 「バレー部が男女とも廃部だって」 「傷害事件って本当?」 「レイプだって」 「え? 16HRの女子バレー部が三人とも入院? ウッソー!」 「保健室の血みどろのシーツ? それって養護の先生の血なのかしら?」 「血液鑑定してるらしいけど」 「きれいで優しい人だったのに、どこ連れて行かれちゃったんだろ?」 「乳首切断されたのが保健室じゃないかって……」 「私、怖いよ。早く家に帰りたい……」  県立湖南高校は不気味な噂と憶測で膨れ上がっている。あちこちでヒソヒソと、あるいは聞こえよがしにおおっぴらに、こんな会話が飛び交っていたのだった。 今日はクリスマスイブ。本来なら二学期の終業式を終え、成績表が配られたあと、浮き浮き顔で帰途に就くはずの生徒たちなのに、どの顔にも不安と恐怖が滲み、親に止められて二学期最後の日を休む生徒までいる始末だ。 「都市伝説のようなものだ!」  担任の大原先生がガハハハと天井に向けて大笑いしてから続けた。 「ほら、保健室の先生が拉致されただと? バカタレ! じゃあ、ここにいる美女は誰なんだ? さあ、先生……」  半開きになっていた引き戸からフミカが「ハーイ」と、輝くような笑顔を差し出した。今日はいつに増して血色がいい。いや、化粧が濃いだけか。
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